黒の世界1 ページ3
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『どこなの…ここは。』
目が覚めると少し暗い病室みたいな所だった。
頭の包帯に固定された腕から階段から転げ落ちた私は助かったんだと確信した。
良かった。と思う反面、誰もお見舞いに来た形跡が無いため不自然に思ったが異変は更に強まった。
髪が短いし、私はこんな茶色ではない。
しかも私はこんなに細くて綺麗な指でもないいつも突き指ばっかりして傷だらけの手のはず。
ここは病院?、病院にしては設備の少なさが目立つけど…。
考えれば考えるほど疑問は浮かびそれに答えてくれる物、人はいなかった。
コンコン、とノックの音がしてそれに続いて「入るぞ」と言って返事も聞かず入ってきた。
入ってきたのは黒い帽子に黒のコート、全身真っ黒な人が入ってきた男の人は私を見て目を見開き慌てて近寄ってきた。
「手前ェ意識戻ってたのかよ!
調子はどうだ?」
かなり親しげに話しかけてくるが私には当然見覚えもない。まず何故家族が来ないのかわからない。英は?、バレー部のみんなは?
『…貴方は誰ですか?
ここは一体どこなんですか、家族に合わせてください!』
「…は?手前ェ。
俺のことが分らねェのか?」
私の言葉に驚きを隠せないのか、何回も尋ねて医師を急いで男の人は呼んだ。
医師は申し訳なさそうに記憶障害。記憶喪失だと告げた。
その後、私は鏡を貰い違う私を見つめて今の情報を整理した。
答えは簡単に出た、どこかのファンタジーもので誰もが夢に見ることも少なくはない成り代わり、トリップと言う言葉が見い出せた、
『すみません、貴方の名前と私の名前を教えていただけませんか?』
「嗚呼、分かった。
俺は中原 中也、手前ェの上司だ。
手前は
ポートマフィアの構成員だ。」
中原 中也?
あの日本を代表する詩人の中原中也と同じ名前だ。いるんだなそんな方も
『そういえば中原さん、ここ病院ですか?』
「は?、ここはポートマフィアの医務室に決まってんだろ。
手前ェが一般の病院なんかに運ばれたら大事だぞ。」
なんで?と聞くと中原さんは呆れたように
「俺達は裏社会の人間だからに決まってんだろ。」
そこ言葉を理解するのに私は時間がかかった。
裏社会の人間?マフィア、ヤクザ?
私はキョロキョロと視線を迷わせると隣の机に置いてあった拳銃が現実を知らせた。
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