偽者の花嫁【中原中也】 (ページ43)

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番外編【喧嘩と不安】ページ43

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「…それでこっちは九州を訪れた時に買った土産じゃ…。」

『わぁ…可愛い入れ物。』

紅葉姐さんの話をきいたりお菓子をつまんでいたらあっという間に日が暮れた。

中也さんが来ないことに傷ついているけどこっちから飛び出したんだからしょうがない。

もしかして、もう迎えに来ないんじゃ…？

ダメだ、やめよう。どんどん暗くなっちゃう

「…Aはちといい子すぎるのう…中也には勿体無いぐらいじゃ…。

もう少し我儘を言ってみてもいいと思うがのう。」

『私が我儘なんて恐れ多くて…！』

不意に奥の方からドタドタと音がしてビクッと方が震えた。

＿＿＿＿＿もしかして

「Aｯ…！」

『わぁｯ！…どうしてここが…。』

行き先も告げてないのに、と思いながら紅葉姐さんの方を見るとニッコリと微笑み私に端末を向けた。

そこには私が紅葉姐さんの所にいることを知らせるメールがあった。

「これだから、若い者は嫌じゃのう…これ中也そういう事は他所でやっておくれ。」

「すみません姐さん。

A…行くか。」

するりと中也さんの手は私の手と絡まり私は心をキュッと締め付けられるような感覚だった。

手を繋いでくれただけで…私って本当に単純。

『…はい、お世話になりました…紅葉姐さん。』

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家に付くといきなり中也さんに抱きしめられた。まだ廊下なのに

「本当に済まなかった。

＿＿＿＿＿＿手前ェを泣かせねェって誓ったのに。」

いつもの中也さんじゃなくて凄く弱々しい中也さん。手が微かに震えていた。

違う、違う…そういう顔を私は見たくない。

＿＿＿＿チュッ

中也さんの乾いた唇にキスをひとつ落とすと中也さんは目をぱちくりさせていた。

『じゃあ、今から私を幸せな気持ちにして下さい。』

中也さんにしかできないこととで＿＿＿＿。

私のちょっとした我儘を中也さんは受け入れてくれるかな。少しだけ不安だった。

でも、

「分かりました、奥さん。」

そんな心配いらなかったみたい。

＿＿＿＿＿＿＿＿キスの嵐まであと数秒

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・お待たせしてすみませんでした(＞＜)