偽者の花嫁【中原中也】 (ページ25)

今日:33 hit、昨日:37 hit、合計:1,219,837 hit

２４話ページ25

「い、痛いｯ…

なんで突き飛ばすのよ…！

本当の花嫁は私なのよ…！」

『はい、確かにそうです…。

でも、ゆりあ姉さんは

行きたくないって言って

私に嫁がせるようにしましたよね？

死にたくないという理由で

なのに、なんで…今、被害者ぶって現れるんですか？

＿＿＿＿＿＿そんなに私を不幸にしたいんですか？』

もう、中也さんにどう思われても構わない

でも、

ゆりあの好き勝手な理由で

中也さんは渡したくなかった。

「…、手前ェが本当の花嫁か。」

「はい、中也さんの本当の花嫁です。

Aは

父に利用されっぱなしの

可哀想な偽者の花嫁なんですよぉ？」

偽者の花嫁＿＿＿＿。

ズキリとその言葉が刺さった

それ以上何も言えなくて

中也さんから離れたくなくて

ギュッ＿＿と中也さんの袖を掴んだ

ポロポロ涙が流れて止まらなかった

「＿＿＿＿＿＿手前ェが本当の俺の嫁だとしても

俺はAが嫁で良かったと思ってる。

だから、俺はこのままでいい

＿＿＿＿＿＿＿帰ってくれェか？」

「そｯ…そんなぁ…！」

『…中也さん…』

「A…、

たとえ策略結婚でも俺は手前ェが好きだ

だから、手ェ繋がさせろ

一緒に寝させろ

＿＿＿＿優しくさせろ。」

ギュッと抱きしめられて言われた

抱きしめる手が少し震えてた

私もそっと腕を回した

『私も、中也さんが大好きです…！』

ふすまが開いた

やけに森さんが遅いなと思っていた

パチパチと手を叩いて

ニコニコと笑う森さんがいた。

「うん、矢張り新婚とはいいものだねぇ」

「首領…！」

「あ、貴方がポートマフィアの首領ですか？

私は納得できないわぁ…！！

こんな子中也さんに相応しくない！」

「…じゃあ、君は

何を基準にしてAちゃんを相応しくないと決めたのかい？

いくら志水君の長女でも

傲慢すぎる長女は

嫁にいらないね。」

刹那、森さんの笑が

深く冷たく思えた…