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144.広すぎる部屋 ページ44

 
 
 
Aに電話を切られ、ベッドに寝転びあれこれと考えていた。


『私が出来ない時は他の誰かの所に行くの?』


スゲー泣いてたな……。悲しそうな声。
そんなに不安にさせてんのか俺……。
切なすぎるわ。


『明日はまだ出来ないですけど良いんですか?』


……効いたなぁ。この一言。
だよなぁ。俺が言った事だもんな。
手ェ出せなくてツライ?
ほんっと最低だな俺……。
自己中にも程があるわ。


遠慮も我慢もしない。
それを履き違えたらダメだ。
何でもかんでも正直に気持ちを伝えれば
いいってもんじゃない。

相手のことを一番に考えてこそ成り立つ事だろ。

Aはいつも
俺の事を考えてから、俺の話を聞いてから
正直な気持ちを伝えてくれる。
俺にはそれが足りなかった。
今までずっとだ……。

『私の気持ちも言っていい?』
そうやっていつも俺の気持ちを
受け止めてから言ってくれてた。
いつも何も考えずにわがままを言うのは俺だ。
それをずっと受け入れてくれてたのがAだ。
Aの優しさに甘え過ぎてた。


…………。

これ、今回の件だけじゃねぇな。
今までの溜まり溜まった気持ちが爆発したのかも。


愛想尽かされる……?

マジか。
どうしよう。


Aが居なくなる?

……無理。無理だ。やだよ。






俺の手から離れて行こうとするA。
誰だよ、そいつ。



『どんな時も私を大事にしてくれる人の
 所に行きます。さようなら。』



行かないで……A。
耐えられないよ。

ごめん。ごめんなさい。
改める。直すよ俺。

頼むよ……。一人にしないでくれよ。



俺は何もない部屋にひとりぼっちにされる。


『さぁ。君が以前使っていた部屋だ。
 また一人で好きに使うといい。』


Aが居ないこの部屋は
だだっ広くて邪魔なものが何もない。
スケートの事だけを突き詰めるのに最適な部屋だ。

ひとりぼっちで立ち尽くす。

A……。
俺一人じゃ広すぎるよ。
一緒に新しい羽生結弦をこの部屋で
作るハズだったのに……。
俺一人じゃ出来ねぇって……。




ふとベッドの上で目が覚める。
あぁ。夢か……。



俺の心の中は知らない間に
Aでいっぱいになってたんだな。
自分でも気付いてなかった。


Aが居なくなるなんて耐えられない。
だったらもっと大事にしなきゃ。
改める。直す。やるよ俺。
A。約束する。
だからもう一度だけ俺にチャンスを下さい。
 
 

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設定タグ:羽生結弦 , ドS , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
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菜紬(プロフ) - てごさん» コメントありがとうございます!いつも読んで下さっているなんて‥感激です(≧∀≦)書いているとどんどん口が悪くなるので(笑)心配でしたが、楽しんで頂けて嬉しいです♪ (2020年6月16日 22時) (レス) id: a7d05f70f7 (このIDを非表示/違反報告)
てご(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております( ´∀`)口の悪いゆづ君も良い感じですね。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: 9f3d54ffe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜紬 | 作成日時:2020年5月22日 13時

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