132.不機嫌＆涙 ページ32
「その辺適当に座ってていいから。」
「うん。分かった。」
結弦くんはテキパキと準備を整え
高速で靴紐を結び、(速っ！)
リンクにタッチして中に入って行く。
「お願いします。」
スーっと気持ちよさそうに伸びやかに滑っている。
これはスケーティングの練習というヤツかな？
たぶん。
キレイだなぁ。本当に。
ホントはリンクのふちに身を乗り出して見たいんだけど、邪魔にはなりたくないのでおとなしく座って興奮を抑える。
ズルい。
そうやってスケーター羽生結弦を
見せつけるんだから。
さっきまでとのギャップがズルいよね。
あと、その黒い練習服が嫌。
ピタッとし過ぎ。
みんなに見られてると思うとなんか嫌だ。
「え？ なんで怒ってんの？」
軽く水分補給に来た結弦くんに
不思議な顔で見られる。
「別に……。」
「は？ 意味分かんねぇ。」
結弦くんは集中を戻し練習を再開する。
あー……。
いつまででも見てられる。見ていたい。
ジャンプの練習も始まる。
こんなに細い結弦くんでもやっぱりジャンプを跳んだらすごい氷の音がするんだなぁ。
いつもクリケットで見ている時はガラス一枚隔てられているから、やっぱり生で見せてもらうと全然違う。
羽のように軽いジャンプ。
やっぱり言葉は何も出なかった。
ただただ息を飲む事しか出来なかった。
「ふふっ……。どういう感情？
さっきまで怒ってたんじゃねぇのかよ？」
「え？」
「んで、今度は泣いてるわけ？」
自分の頬を確認する。
あ。最初と同じパターンだ。
「羽生結弦さんには毎度感情を
揺さぶられて困ります。」
「ふふっ。そりゃありがとうございます。
もうすぐ終わるから、そしたら一緒に滑ろ。」
……は？
無理無理無理！！
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菜紬(プロフ) - てごさん» コメントありがとうございます！いつも読んで下さっているなんて‥感激です(≧∀≦)書いているとどんどん口が悪くなるので（笑）心配でしたが、楽しんで頂けて嬉しいです♪ (2020年6月16日 22時) (
レス) id: a7d05f70f7 (このIDを非表示/違反報告)
てご(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております( ´∀`)口の悪いゆづ君も良い感じですね。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: 9f3d54ffe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜紬 | 作成日時：2020年5月22日 13時
