普通のお兄さん3

101.ご挨拶 ページ1

　
　
　
「結弦くん。結弦くん。」

「……？ ん……。」

「おはよ。アラーム鳴ってるよ。」

「あぁ……。ん。おはよ。ごめん、起こした。」

「ううん。大丈夫だよ。起きてたから。」




「んー……。柔っけぇ。」

「……またそういうの始める。」

「なんだー。昨日１回で寝ちゃったのか。」

「いや十分ですから。」

「せっかくのお泊まりなのにもったいねぇな。」

「いつもウチに泊まってるでしょ。」

「いや、いつもと違う場所ってのも
　興奮材料のひとつでしょ。」

「はぁ……？ 知らないよ。
　ほら！ 起きて起きて！」

「あー！ 俺の癒しがー！」




「今日は取材とか色々あるんでしょ？」

「うん。終わるの昼過ぎだから
　それまでここで待ってて。」

「分かった。」

「明日はどうすんの？」

「実家帰ろうかなーって。
　結弦くんも帰るんでしょ？」

「そうだなー。でもAさん家にも挨拶に
　行っときたいな。」

「え！！ いや大丈夫だよ。」

「なんで？ ダメだろ。
　お付き合いのご挨拶はしとかねぇと。」

「うーん……。そうなの？」

「そうなの！
　明日はご両親いらっしゃるの？」

「平日だし、夕方以降ならたぶんね。
　確認しとく。」

「うん。よろしく。
　一緒に移動するのはさすがに厳しいか。」

「うん。だね。」

「あ、でも俺、車の手配頼んでみるわ。
　ダメなら電車でなんとか頑張ろう。」

「うん。」

「じゃあ行ってくるね。」

「いってらっしゃい。」



「……へへっ。このパターン新鮮だな。」

「あ、確かに。ふふっ。」





「「ん……。」」





「長ぇな。」

「いつものお返し。」

「クッソー。こういう気分か。」

「でしょ？ 行く気削がれるでしょ？」

「だな。一回しとくか。」

「ちょーっと！ ひゃあっ！ やぁっ！」

「へへっ。」

「へへじゃない！ 早く行きなさい！」

「はーいっ。いってきまーす！」

「……もうっ。いってらっしゃーい。」
　
　

　

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