テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ10)

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No.59 ページ10

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『轟くんは夏休み予定あるの？』

「そうだな、夏休みと言っても学校ある日あるし林間合宿もあるからな。

特にこれといった予定はねぇ。Aは？」

『そっか、私は……特にないなぁ。遊ぶ人もいないし』

なんか寂しいね、と笑いかければ轟くんは考える素ぶりを見せた後、私に提案をしてきた。

「じゃあ、どっか行くか？」

『え、いいの？』

「まぁまずは期末テストにはなるけどな」

『うっ、そうだよね…』

浮つきそうになったところを一気に現実を見せられて心が痛くなる。でも、お互いどこに行きたいか考えておこうとなり私はワクワクした。

そんな気持ちのまま教科書を開いて勉強を始めていく。分からないところがあれば、向かいに座っている轟くんに聞いてその度に彼の賢さにトキメキを覚える。

こんなにも勉強が楽しいと思ったのは初めてかもしれない。

教科書を見る振りをしながらこっそり轟くんを見ると、集中してノートに書き込んでいて。意外と睫毛長いんだなとか、眼鏡したら似合いそうとか、変なことばかりを考えてしまった。

「…どうした？分からねぇとこでもあるのか？」

『へっ、な、何でもないよ？』

「そうか？」

まさか気付いていたとは思わず、焦ってまた教科書を読む。私らしくないなと思ったけれど、これが恋というものかと思えば嬉しくて思わず笑みがこぼれた。

「……。」

そんな私を轟くんもまた、見ていたとは知らずに。