テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ8)

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No.57 ページ8

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「それより、どうしたんだ。何か用事でもあったんじゃねぇか？」

『え？あ、あぁ！あのね、良いことがあったの！それで轟くんに一番に伝えたくて…』

「俺に？」

何とか立ち上がってスカートに付いた埃を払い、ここに来た目的を言うと、轟くんは驚きながらも嬉しそうな表情をした。

『クラスの子におはようって言えた！それでね、心操くんって子に雰囲気変わったねって言ってもらえた！』

「良かったな」

そんな声に大きく頷くと、轟くんはそっぽを向いて鼻の頭を掻いた後、また私をチラリと見る。

『どうしたの？』

「いや、なんか複雑というか…」

『え、なんで？』

「心操って奴にAを取られるんじゃねぇかって」

『なっ…！？』

親父の気分だ、なんて言う声が聞こえなかった私は一気に頬を赤く染める。同時に胸のあたりもキュンとなって、苦しくなった。

チラリと轟くんを見てみれば、轟くんも私のことを見ていて、お互いの瞳に吸い込まれるかのように見つめあってしまう。

あぁ、なんて綺麗で整った顔なんだろう。かっこよくて言葉では言い表せない程、私は夢中になっている。

「轟くん！そろそろチャイムが鳴るぞ！席につきたまえ！

おや？感宮くんではないか。君もクラスに戻らなければ間に合わないぞ！」

「っ、あ、あぁ」

『ご、ごめん！も、戻るね…！』

「あぁ、また後でな」

そんな中、突拍子もなくやってきた飯田くんに驚いて、パッと目を逸らして何事もなかったかのように振る舞う。

そして別れて教室へと戻る最中、私はふと思ったのだ。

『あれ、いつもならあんな集中しちゃってたら心の声聞こえてるはずなのに…』

何も聞こえなかった、と。