テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ43)

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No.92 ページ43

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最後の花火は線香花火というものだった。特に線香花火で賭け事をすることもなく、ただ端からやっていって最後に残ったのがそれというだけ。

でもたまたまにしても、その線香花火は最後を飾るには匹敵で、小さくぷくっと膨れるオレンジの光は可愛くて思わず見惚れてしまった。

『うわっ、これすぐ落ちるじゃん』

「そりゃ線香花火だからな。落ちないようにジッとしないといけねぇんだ」

『えー、じゃあもっと大切にすれば良かった』

「ほら、もう一本あるから」

『あ、ありがと』

線香花火を持つ先に火をつけてくれる轟くん。頑張ってジッとする私を彼は黙って見守っていた。

『私ね、轟くんに出会えて本当に良かった』

パチパチと小さく弾ける光と共に、私の本音も弾けていく。

『轟くんに会って、考え方とかいろいろ…もう世界が180度変わっちゃって。

今じゃ、昔の私がどんな風に過ごしてたか思い出せなくなる時もあるの』

そしてその光は、温かく私たちを包み込んでいく。

『私、轟くんがいなかったら今頃どうなってたのかな。想像しただけで怖いよ。

でも轟くんが一生側にいるわけじゃないんだから、私一人で歩けるようにならないといけないんだよね』

私が勝手に言った言葉。でも改めて口にするとやはり苦しいものがある。

側にいて。側にいないで。

甘やかして。甘やかさないで。

隣で微笑んで。隣で微笑まないで。

そんな矛盾した気持ちが私を襲って、心の中をかき混ぜていく。あぁ、私はもうどうしたらいいんだろうね。