テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ11)

今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:35,280 hit

No.60 ページ11

.

『んんーーー、終わったぁ』

「お疲れ、ケーキ食うか？」

『食べる！お皿とか準備するね』

勉強もひと段落ついて伸びをすると、轟くんが家に来る前に買ってきてくれたケーキを食べることになった。

轟くんも準備を手伝ってくれて、二人でキッチンに立つと、なんだか新婚さんのようで恥ずかしくて会話もぎこちなくなってしまう。

駄目だ、変な妄想をしてはいけない…と自分に言い聞かせつつ準備が出来たケーキを食べると、幸せで頬が落ちそう。

『んーおいひぃ…』

「良かった、気に入ってくれて。…生クリームついてるぞ」

『え、どこ？』

「ここ」

そう言って手を伸ばす轟くん。人差し指があともう少しで私の口元に辿り着きそうになったその時、無意識に身体がビクリと反応してしまった。

「あ、悪ぃ…」

『ううん、私も、ごめん…』

せっかくのチャンスだったのに…いや、何がチャンスなんだと思うが、それでも轟くんに悪いことをしてしまった。その証拠に変な空気が流れてしまっている。

『…あのね、轟くん』

「ん？」

『一つ頼みたいことがあるんだけど…』

私が震える唇で、ゆっくりとその続きを言えば、オッドアイの瞳が大きく見開いた。

「別にいいけど…俺でいいのか？」

『うん、多分轟くんじゃないとダメみたい』

へらりと笑ってみせれば、轟くんの喉が大きく動くのが見える。そんな姿に私までドキドキしてきたけれど、ゆっくり椅子から立ち上がれば轟くんも身体を私の方へ向けてくれたのだった。