テレパシー少女は夢をみる【轟焦凍】 (ページ46)

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No.46 ページ46

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「そんなこと、言うんじゃねぇ！」

『っ…！』

「確かに、お前は今まで辛い思いを沢山してきた。けどな、諦めるのはまだ早いぞ」

『おにーさんまで、まだ私を苦しめようとすんの…！？』

「ちげぇ。今度は助ける、俺が…ヒーローとしてじゃなくて、お前の友達としてだ！」

そう言って、感宮の小さな身体を俺の腕で包み込んだ。嫌だと暴れまわる彼女を閉じ込めて、俺の過去を視てもらうようにした。

感宮にとって人の過去を視るのは辛いだろう。でも、それでも。視てもらうことで俺も同じように苦労して生きてきたんだと伝えたかった。

だから、一人じゃないんだと伝えたかった。

二人の中で視えた俺の昔の姿。親父に英才教育をされ、お母さんに熱湯をかけられ、憎しみだけでヒーローを目指して生きて…。

でも高校では緑谷たちと出会い、自分の過去と向き合い少しずつ立ち直れていってること。

感宮と出会えて、心が穏やかになったこと。

…感じたことのない、淡い感情を持てるようになったこと。

「俺は友達に救ってもらった。だから、今度は俺がお前を助ける。ずっと側にいる。

どんだけ迷惑がられても離れてなんかやらねぇぞ。それが、俺が友達に教えてもらったことだしな」

『馬鹿でしょ、おにーさん』

身体を離すと、瞳に涙を溜めた感宮が笑って俺を見つめていた。やっと見れたその表情に、俺も嬉しくて胸が締め付けられる感覚がした。