No.45 ページ45
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暗い世界の中、幼い感宮は一人で泣いていた。どうしてやればいいのかは分からなかったが、頭を撫でようとすると手がすり抜けて触れることすら叶わなかった。
「感宮さんって、親に捨てられたらしーよ？」
「何でも、アイツに触られると呪われるんだって」
「何も言ってないのに、心の中の声読まれてた…」
「まじで怖…。あの子と目合わせたら終わりだよ」
学校でも一人で机に座り、周りからの悪口に耐える感宮。いじめられても、何も言わずに後片付けをする感宮。一人にしては広すぎる家で毎晩涙を流す感宮。
ボロボロになってしまった彼女は、悲しみを通り越して無表情になっていて。見てられないくらい、酷い環境だった。
「もう、やめてくれ…」
やっと出てきた声は、思った以上に震えていた。
それくらい、感宮の過去は悲しくて押しつぶされてしまいそうなものだったからだ。
全ての人から個性のせいで拒絶され、どうしたらいいか分からない一人暮らしの生活に頭を悩ませ、だんだんと家に引きこもっていく姿に胸が痛くなる。
『百ちゃん、何で裏切ったの？…もう嫌だ。どうせみんなが離れていくんだから、何も聞きたくない。視たくもない』
うずくまって震える小さな身体を無意識に包み込もうとすると、また黒い影が俺を覆い、気がつけば最初の場所に戻っていた。
「A…？どこに行ったんだ。おい…」
『おにーさん。私の過去を視てどう思った？私はね、やっぱり視られるのは嫌だなって思った』
「っ、そこにいたのか」
『っていうことは、もう誰とも関わらなければいいの。大丈夫、私には心を開ける子がいるから寂しくなんてない』
そう言う感宮の腕の中には、にゃーと鳴く子猫がいた。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
