No.31 ページ31
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昼休みの屋上、青空の下で風を感じながらゼリー飲料を飲んでいるとガチャリとドアが開く音がする。
轟くんが来たのだと完全に思い込んでいた私は、振り返って文句を言ってやろうと思っていた。
『轟くん、遅いー。何してた……何の用？』
「お久しぶりですわね、感宮さん」
しかしそこにいたのは私の苦手な人物、八百万百。
眉を下げるその表情に私はそっぽを向いた。
『用がないなら、早く出てって』
「いいえ、用があるから来ましたの」
そのお嬢様口調が昔から嫌いだった。まるで自分は他の人間と別だと言っているようで腹ただしかったからだ。
「感宮さんがまさか雄英に来ていたとは知りませんでしたわ。普通科、でしたっけ？どうですか？感宮さんのクラス」
その上、向こうは私を気遣って聞いてくれているのだろうけど、何様のつもりだと叫びたくなる。それは今も昔も変わらない。
『知らない。というか、八百万さんなんか丸くなった？』
「そう、かしら？」
『いや……丸く、じゃなかった。弱くなったよね』
「なっ…！？」
まるで図星だというような反応に、ため息が出そうになる。何故そんなことを言うのか、と反論してくる八百万に私は睨みつけた。
『はぁ？まさか今ので傷ついたとか言わないよね。あんた覚えてる？今まで私にやってきたこと！
ヒーロー目指してるからって私を助けようとしたくせに、いざ矛先が自分に向きそうになると見て見ぬフリしてたよね！？』
「それは…」
『知ってる？それもいじめに入るんだよ？』
今までの苛立ちを吐き出せば、彼女の目に涙が溜まっていくのが見える。これでは私が悪者みたいじゃないか。私はそれよりずっと前に、八百万に泣かされてきたというのに。
「…A？八百万？」
不公平じゃないか。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
