No.04 ページ4
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意識が少しずつ戻り、重い瞼を持ち上げると真っ白な天井が視界に入り込んだ。それと同時に薬品の匂いが鼻を掠め、ここが保健室であることを認識させられる。
「おや、やっと目が覚めたかい。気分はどうだい？」
『……だ、いじょうぶ…です…』
高齢の先生だから、あ？なんて？と聞き返されると思ったけれど、どうやら私の小さい声を聞き取ったらしく本当かね、と肩をすくめていた。
「あんた、貧血でぶっ倒れたんだよ。覚えてる？」
『…何となく…』
「まぁ根津の話は長いから仕方ないさ。
ほら、ハリボーをお食べ」
どこからか出てきたハリボーを口に入れ、そういえば朝は緊張で何も食べていなかったことを思い出す。
そして今は何時だろうと時計を見ると、既に12時を過ぎていた。さすがに寝すぎてしまったかと思う。
「もう平気なら職員室に行きんさい。担任から説明とかあるだろうからね」
『はい…』
きっと職員室に行けば、学校の説明だけではなく大量の教科書も渡されるのだろう。さっそく気分が重くなっていると、ガラガラと扉が開く音がした。
「失礼します」
そう言って聞こえた男の子の声。せっかくベッドから出たのに、突然の出来事にカーテンを思い切り閉めて座り込んだ。
やはり学校という場所は危険が多い。というより人を避けることの方が難しいのだろう。せっかく前に進もうと思って家から出たものの、これでは意味がない。
私にはまだ早かったのだろうか。思い出すのは嫌な記憶ばかりで胸元をギュッと掴んで耐える。
「それより誰かいるんですか？カーテンの向こう」
あぁ、お願いだからこれ以上私に興味を示さないでほしい。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
