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No.30 ページ30
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『おはよう、轟くん』
「感宮、おはよう」
あれからヒーロー科も通常授業に戻るということで、私たちはまた公園に集合していた。
「みゃーーー」
『シロ、轟くんに会えなくて寂しがってたみたい』
「そうか、悪かったな。シロ」
久々の再会に、シロはずっと甘えた声を出して轟くんに撫でろ撫でろと頭を押し付けている。そんな姿が可愛くて、私も思わずシロの背中を撫で回した。
そんな時、ふと目に入った腕の包帯。痛々しいその姿に私にも何か出来ないかと考える。
『轟くん、カバン貸して』
「どうした？」
『腕痛いでしょ？持ってあげる』
「や、肩掛けだし問題ねぇぞ？」
『念には念をだよ。ほら、傷口開いたら危ないし』
取ってつけたような言い訳にさすがに納得してくれず、差し出した手は行き場をなくす。しかし引くにも引けなくて「でも…」と小声で呟くと、轟くんは考える素振りを見せた。
「なら、気持ちだけ受け取っとく。あと何か手荷物が出来たらその時は頼む。ありがとな」
『…うん』
穏やかに微笑むその表情に、何故か私の胸の奥がキュウッと掴まれる感覚がする。
初めての感覚に思わず胸を押さえてしまったが、この時間がとてつもなく幸せなのだと柄にもなく思う。
「どうした、動悸か？」
『ふふっ、ばーか。そんなわけないでしょ』
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
