テレパシー少女は夢をみる【轟焦凍】 (ページ29)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:75,543 hit

No.29 ページ29

.

やっと落ち着いた私は、轟くんのベッドに座って事情を話していた。

「じゃあ感宮さんの個性、テレパシーを使って轟くんが危険な目に遭っているのを知ってここまで来たってこと？」

「テレビの中の人まで読み取るとは…すごいな」

『轟くんと変な空気で別れたから、余計に心配になって…会えたらこの前のこと謝ろうかと…』

「この前…あぁ、あれは俺が悪かったんだ。気にかけちまったな」

そんな言葉に、緑谷と飯田くん(自己紹介をした)は首を傾げる。

『私、個性のせいで人と関わるのが苦手で。そしたら轟くんが友達を作らないかと』

「まぁ、今その目標は達成されてると思うがな」

『え？』

どういうことだと轟くんを見れば、彼は他所を向いて私に無言で伝える。だから私も彼の視線の先を見てみると、そこには笑顔の緑谷と飯田くんがいた。

「友達になろうよ、感宮さん」

「あぁ、俺で良ければぜひ！」

『緑谷…飯田くん…』

見た感じ、轟くんはこの二人を信頼しているようだ。ならば、私も大丈夫なのではないだろうか。

脈打つ鼓動を抑えつつ、よろしくと頭を下げれば二人とも大きく頷いてくれて、キラキラした気持ちになっていく。

ふと轟くんを見れば、穏やかな笑みを浮かべていてなんだかくすぐったかった。

「それにしても何故、緑谷くんには呼び捨てなのだ？」

『え？あぁ、第一印象がおどおどしていたから…流れで』

「おどっ…！？」

「緑谷、女子と話す時緊張してるもんな」

真顔で言う轟くんに、緑谷はまた「だって…！」と頑張って否定をしようとしている。そんな光景が可笑しくて、心が穏やかになっていったのだった。