No.40 ページ40
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『い、やっ……』
「あぁ、なんて綺麗な肌なんだろう。若いっていいなぁ」
神崎の手は止まることを知らず、私の背中から腰に向かってドレスの中に手を入れようとする。あまりの気持ち悪さに先程から身体の震えが止まらない。
(俺の力でこの子はすぐに虜になる。そしたら俺は感宮財閥の人間になれて華々しい人生を歩むんだ。あぁ、これで俺が感宮財閥にした不正行為はバレないぞ)
不正行為…？
だけどそんな疑問は、すぐに神崎が勝手に自分で話し始めていったことにより解決した。
『っ……あの！いい加減にして下さい！！私、父に呼び出されていたんで戻ります！』
「ちょっと待ってよ。なら俺が途中まで連れて…」
『いりません！そこまで方向音痴じゃないですっ』
「…感宮さん？」
まさかの登場、八百万。首を傾げる仕草から見て、多分何をされていたのかは見られていないはず。腑に落ちないが、今は彼女に助けてもらうしかないようだ。
『八百万さん、ちょうど良かった。この人最低最悪男だから近づかない方がいいよ。ほら、大丈夫だから戻ろ』
「あ、はいっ…」
「チッ、クソ…！」
神崎は諦めたのか、とても悔しそうだったけれど何とか免れたことに安心する。それでも先程までの恐怖は忘れることなんて出来なくて、八百万と一方的に別れた後、父親に報告をしに行った。
父親はそれはそれは大喜びをして、それと同時に黒い笑みを浮かべる。
そんな姿を見て、こんな汚い世界は二度とごめんだと、何も言わずにタクシーを拾って自宅へと帰宅した。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
