No.17 ページ17
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『ねぇ、何で袖掴んでんの。迷子防止？』
「んなわけねぇだろ。お前の迷子防止だ。あとナンパ防止」
『雨降ってるからそれはないと思う』
「降ってるから余計にだろ…」
頼むからブレザーを着といてくれ、と言われたけれど暑かったんだから仕方ないじゃないと心の中で愚痴る。
まぁ今は肌寒いからブレザーを着てからジャージを羽織りたかったなと、腰に巻きつけているブレザーを見て思った。
『ここ、私の家。タオル持ってくるから待ってて』
「あぁ、悪ぃ」
こういうのに慣れていないのか、キョロキョロと辺りを見回す轟くん。かく言う私も人を家に招くなんて初めてのことで内心ドキドキしていた。
『外やみそうにないし、お風呂行ったら？入ってる間に乾燥機回せば服も間に合うでしょ』
「いや、それは…。つうか、感宮の家なんだから感宮が入ればいいんじゃねぇか？」
『別にいい。私は学校休んだって支障ないし。轟くんの方が後々困ると思う。それに…建前付かないじゃない』
最後の言葉だけ少し恥ずかしくて小声で言ったけれど轟くんには聞こえていたみたいで、少し笑みを浮かべた後、お風呂場への案内を促された。
そしてシャワーの音を耳にしつつ、新しい服に着替えようと私は自分の部屋に行き、肌に纏わりついていた気持ち悪さを取っていく。
そのまま部屋着に着替えた後、キッチンに向かってココアを入れた。…どうやら良いタイミングでお風呂から上がってきたみたい。
「風呂、借りたぞ」
『ん。ココア、入れたから飲んだらすぐ帰って。ビニール傘玄関に置いてるからそれ使っていいし、返さずに捨てていいから』
でも…と何か言いたげな轟くんを残して、私はお風呂に入るからと颯爽と消えた。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
