Secret 35 ページ35
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健「Aっ…？A…！」
彼女が元の世界に戻ったんだと理解するには
そう時間はかからなかった。
その代わり、深い悲しみと今までの思いがどんどんやってきて
何とも言えない感情が、涙となって溢れ出してくる。
強がってるって俺の方じゃん。
何が、お互いのためなんだよっ…！！
嗚咽を抑えきれずに、その場にうずくまって
泣き続けた。
Aにこんなみっともない姿を見せなかったのは
せめてもの救いだ。
涙が枯れきった頃には、もう真夜中で
Aといた時よりも、月が綺麗に輝いていた。
月とは真反対の、どん底の気持ちになっているとは思ったけど
意外にもそうではないらしい。
逆に、清々しい気持ちに満たされていて
俺は月に向かって、微笑みかけた。
健「お互いの世界で頑張ろうな…A」
その時、気のせいかもしれないけど
Aの眩しい笑顔が見えた気がする。
それから日は経ち、携帯の写真フォルダの中に映る
桜を見上げるAの姿。
横にスワイプすれば、俺とAが桜をバックにしたツーショットもあって
それをぼんやりと眺めて
電車の外に並ぶ桜並木に目を移す。
Aと別れたあの日から
すぐにこっちの本当の世界のAと会えると思っていたけど
神様のイタズラかのように、なかなか会うことが出来なかった。
そんな春休み明け初日の大学。
今日は会えるかな、なんて淡い期待を抱きながら
Aが乗ってくる駅に着き、開くドアに
なんとなく目を向けた。
健「…っ！」
その視界の中に映る人は、どう見ても彼女で。
健「やっと会えた…」
思わず、声をもらしてしまった。
そして無意識にずっと彼女を見てしまっていたらしく
俺と目が合った彼女は、軽く会釈をする。
そこから会話はなかったけど、最寄り駅に着いた時
思い切って話しかけた。
健「あのっ…！」
あ「あ、はい…」
健「俺、中島健人って言います。もし良かったら、友達に…なってくれませんか？」
あ「あなたが…」
健「へ？」
あ「あっ、いえ。その…私なんかで良ければ」
健「ほんとにっ？ありがとう！」
この時やっと会えたんだ、俺の未来の奥さんに___
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空涼(プロフ) - Dさん» 元々考えていたプラス、書こうと思ったきっかけがそれですね！ (2017年8月24日 23時) (
レス) id: c26cc2f18b (このIDを非表示/違反報告)
D - 僕は今日昨日の君とデートするみたいな感じですか？ (2017年8月24日 22時) (レス) id: 80b3e0ffbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空涼
| 作成日時：2017年8月11日 16時
