前夜(D.O) (ページ10)

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あれから、イヤリングを拾ってくれたこともありお互いが映画館に通っていることもあって会えば会釈する仲だった。

でも名前は知らない。

テーブルにポップコーンとコーラをのせて待っているギョンスに話しかけたのは私からだった。

『今日は何番シアターですか？』

KS「5です」

彼も微笑んでくれる。

『あ、一緒笑』

彼はチケットを覗いて「残念」という。聞き返すと、座席が真ん中と後ろで別れていた。

彼は私のうなじを観ているのかと思いきや、耳からさがるペンギンのイヤリングに触れた。その瞬間、電流が頭に走ったみたいに驚く。

なに、ドキドキしてんの。

自問自答ー。

KS「そういうの、好きなの？」

『え？ああ…これ』

なんだか恥ずかしくてイヤリングを外してしまうと、彼は簡単に触れてみせた。イヤリングをのせた私のぬるい手のひらに指をのせる。

KS「やだ。つけて」

『え』

KS「きれいだから」