前夜(D.O) (ページ27)

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KS「大学生までは、ゆっくり時間が流れていたけど。働きだしたら、お互いに余裕なかったよね」

『うんうん、わかる』

………
私は仕事を始めてすぐに、大邱からソウルに転勤することになった。大好きなアパレルの仕事だし、転勤に抵抗はなかったけど。

大邱にはギョンスがいるから、いざソウルに逝くと挫折しかけた。

毎晩ギョンスが電話してくれる日も少なくなって、不安になってるくせに電話はしなかった。迷惑かけて嫌われたくないし。

誰にも頼れないし、日々努力をしなければならないこと。仲間たちでは競争心しか芽生えず、私はどんどん精神的に追い込まれていった。

時々送られてくるギョンスからの写真には楽しそうに仲間たちと写っている笑顔。羨ましくて、寂しくて夜中まで泣いたんだ。

泣いている最中、ギョンスから久々に電話がかかってくる。まだ鼻声だけど、誤魔化そうと咳払いした。

KS「ユナ、鼻声だよ」

『うん。こっち、寒くて』

KS「そうなんだ…。仕事はどう？」

『ん？順調だよ。すごく…楽しい』

声が涙で震える。

KS「それはよかった。風邪ひかないか心配だな。ご飯、食べてる？」

『うん。食べてるよ』

KS「今日はわかめスープでも飲んで、温まって」

『ありがとう』

KS「近くにいたら、会えるのにね。寂しいな」