前夜(D.O) (ページ13)

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KS「同じ大学だったんだね」

『びっくりしました』

彼は本を閉じてしまう。

『あ、お構い無く。すいません、本を読んでいたのに』

KS「なんで？」

『…だって』

KS「俺は、本より君がいいんだけど」

仄かに心に落ちてくる言葉。ドキドキして眩暈がしそう。

まばたきを繰り返しているうちに、涙が出てくる。

もう終わったと思っていたのに、繋ぎ止めてくれる。

これは逃しちゃいけないんだ。

KS「この間は一人じゃなかったね」

彼から切り出してくれるから、話しやすい。

『友達に誘われて映画館に行ったら、ダブルデートって言われて。こまりましたよ』

KS「ふうん。そりゃ大変だったね」

優しい眼差しのまま、私の話を聞いてくれる。

どう思った？
私が他の人と映画館にいたこと。

ちょっとでも気にしてくれた？

そんな淡い期待を残しながら、彼の最寄り駅に電車は着いてしまう。

KS「名前、なんていうの？」

『ユナ』

KS「俺は」

『ギョンス』

目を丸くする。

『聞こえたの』

KS「ああ。あいつ、声が大きいからね笑」