前夜(D.O) (ページ11)

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それをきっかけにして、名前も知らない彼のことが気になる日々。

大学生だった私は、友達に誘われて映画館に行けば見知らぬ男性が二人。

F「まあ、ダブルデートってこと」

『え？聞いてないよ』

F「言ったら来ないでしょ。」

見知らぬ男性とペアを組まされ、観た映画はたいして面白くもない恋愛映画だった。

隣のシアターで、気になる映画がやっていたのに。

シアターを出てからも、その男性の隣になったまま。ショップに立ち寄れば興味ないといわれる。

「そんなことより、なにか食べに行こうよ」

腕をひかれショップから剥がされる手前、視線を感じた。振り向けば、名前も知らない彼が映画のカタログを手にこちらを観ている。

『やだ…………あの人にみられたくない』

小さく声に出していて、気づけば店から連れ出されていた。

案の定、面白くもない話をされて。なんの縁もないまま、その男性とはお別れに。