剣持さんとライブ 2 ページ13
「……」
「……」
ライブの帰り道。お互い無言のまま電車に揺られていた。がやがやと騒がしい周りも気にならないくらい、私たちは余韻に浸っていた。
ぼうっと先程の出来事を思い返す。
━ ━ ━
「た、楽しみですね」
「そうですね。僕もライブに来たのは初めてなので」
期待に胸を膨らませながら、そわそわして剣持さんに話し掛ける。剣持さんもどこか落ち着かない様子で、辺りを見回している。
ふと、照明が暗くなった。
そして。
「はじめましてー」
「ChroNoiRの葛葉と」
「同じくChroNoiRの叶でーす」
「……っ!」
ついた照明、ステージの真ん中に立つのは何度も雑誌やテレビで見たChroNoiRの二人。途端に歓声が上がる。
葛葉ー!叶ー!あちこちでそんな声が聞こえてきた。
「じゃあ、早速だけど一曲目いっちゃいますか!」
「はーい。じゃあ一曲目────」
また照明が暗くなって、かと思えば先程よりも眩しい光が彼らを照らす。二人の、すぅと息を吸う音。
ライブが、始まった。
「……!!」
「……すごい」
真っ直ぐでありながら、どこか艶やかで綺麗な声。キレのある一切の無駄がないダンス。そしてなにより。
ターンして振り返った二人がぱちりとウインクを決めた。キャアアアア、黄色い悲鳴があちこちで上がる。
そう。この二人、ファンサが凄いのだ。
ウインクや投げキッスなんかは当たり前。拳を突き合ったりハイタッチしたり、とあるお姉様方が喜びそうな二人のやり取りもしばしば。
聞くところによると握手会やサイン会も定期的にやっているらしい。
惚けたままころころと変わっていく照明や二人の動きを見ていると、ふと、ChroNoiRの一人───葛葉が、こちらを見たような気がした。
ふ、と彼が微笑んでから視線を逸らして、くるりとターン。
「け、け、剣持さ、今、目が、目が合った……!!」
「目、合いましたね」
興奮のあまり吃ってしまった。しかし恥ずかしいなんて思う余裕もないくらい、私は目の前の光景に釘付けだった。
これがまだ何時間も続くのか。持つかなあ、私の心臓。
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あるる(プロフ) - 更新まってます。 (4月12日 20時) (レス) @page18 id: b279daaf7c (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃ - 更新待ってます!! (2022年9月4日 16時) (レス) @page18 id: 0eb8ab871d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃー! - 最高です (2022年4月4日 23時) (レス) @page18 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
消炭(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます〜〜!!更新頑張ります!!! (2022年3月24日 11時) (レス) id: 3142803129 (このIDを非表示/違反報告)
燐 - ワーーーーーーーーッッッッッッッめっちゃ好きですありがとうございます!!!!!!!!!! 更新頑張ってください!!!! (2022年3月23日 16時) (レス) @page18 id: d09a152a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:消炭 | 作成日時:2021年11月25日 12時