剣持さんとの出会い ページ2
桜も散った新緑の侯。
ようやく学校生活にも慣れてきた頃、その日運悪く日直だった私は担任の先生に課題のプリントの回収を頼まれていた。
なんとかクラス全員からプリントを集め、三階の職員室まで階段を上る。
タン、タン、子気味よく一定のリズムで奏でられる音。
踊り場まで辿り着いて一呼吸した。
今は二階と三階の間だから職員室まであと少し。
階段はやっぱり疲れるなあ、と一歩踏み出した。
が。
唐突にぐらぐら脳内が揺れる。視界が狭まる。
貧血だ、そう思った時にはもう既に遅かった。
「……っ、ぁ」
ふらついた拍子に、後ろにあった階段の段差に引っかかりがくんと体が傾いた。
落ちる。
咄嗟に目を瞑った。
「……っ、あれ」
が、いつまで経っても衝撃はやってこない。代わりとでもいうように聞こえてきたのはバサバサと何かが落ちた音。
恐る恐る目を開けると、目の前が紺で埋まっていた。
そのままぐっと引き寄せられる。
腰に回された手、密着した体から伝わる体温。
ライトグリーンの瞳と目が合った。
「あぶな……、大丈夫ですか」
「……」
「え、あの？本当に大丈夫ですか？」
「っへ、ぁ、はい……」
私が呆然としたまま返事にならない返事をすると、安心したように彼が離れる。
「貧血ですか？僕がいなかったら大変なことになってましたよ貴女」
「あ、ありがとう、ございます」
どこか上の空でお礼をすると、どういたしまして、と返ってきた。
彼から目が離せない。
用は済んだとでもいうかのように去ろうとした彼。はっとして、咄嗟に彼のブレザーの裾を掴む。
「あ、あの！名前、教えてもらえませんか」
「え、僕ですか？剣持刀也ですけど」
「けんもち、さん」
「……そういうわけなので、じゃあ」
これからは気をつけてくださいね。
やんわりとブレザーを掴んでいた私の手を離し、すたすたと去っていった彼の後姿をぼうっと眺める。
剣持、刀也さん。
「……好き！！！」
そう、これが私の恋の始まりである。
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あるる(プロフ) - 更新まってます。 (4月12日 20時) (
レス) @page18 id: b279daaf7c (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃ - 更新待ってます！！ (2022年9月4日 16時) (レス) @page18 id: 0eb8ab871d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃー！ - 最高です (2022年4月4日 23時) (レス) @page18 id: d656d21813 (このIDを非表示/違反報告)
消炭(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます〜〜！！更新頑張ります！！！ (2022年3月24日 11時) (レス) id: 3142803129 (このIDを非表示/違反報告)
燐 - ワーーーーーーーーッッッッッッッめっちゃ好きですありがとうございます！！！！！！！！！！ 更新頑張ってください！！！！ (2022年3月23日 16時) (レス) @page18 id: d09a152a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：消炭 | 作成日時：2021年11月25日 12時
