Free.42 ページ46
郁弥 Side
旭「やっと、話せたな。元気してたか？」
「それなりにね。」
旭「話したいこと、たくさんあった。あ、夏也先輩にも会場であったよ。」
沈黙が気まずいのか、なんとか話し続ける旭。
「…そう。僕は暫く兄貴に会えてない。最近は胸を張って報告できる結果も出せてないし。」
旭「郁弥、大丈夫か。ハルも真琴も、ずっと心配してる。お前の大学にみんなで乗り込んだこともあるんだぜ。けど、あのメガネのやつが邪魔してきやがってよ。なんなんだよアイツ…！」
顔に出てる。相変わらずわかりやすいなぁ。メガネのやつ、っていうのはきっと日和のことかな。僕を心配しての行動だと思うから悪くは言えないや。
「日和はそんな悪いやつじゃないよ。根は優しいやつだと思う。」
旭「あっ…悪い、友達のこと悪く言っちまった。」
そういう素直なところ、旭のいい所だよね。
友達、か…
「友達、なのかな。」
旭「えっ、」
「最近わからなくって。」
何故か朝日には話せちゃう。なんでだろう。
「だから仲間とか友達とかって、よく分からなくなってきてて。」
旭「っ…ごめん。俺も中学の時急に親父の転勤が決まっちゃってさ。郁弥が春休みにアメリカにいるうちに引っ越すことになったから、ずっと謝りたかった。」
「大丈夫。気にしてないよ。」
旭「でも、俺は郁弥のことずっと友達だと思ってるから！あの絆は、信じてる。きっと、ハルも真琴も同じ気持ちだ。だから、」
絆、ね。
「ありがとう。旭と話せてよかった。そろそろ行くね。
プールの中じゃ一人、誰も助けてくれないのは変わらないから。」
最後の旭の呼びかけに振り返りもせず、そのまま行く。
強くならないといけない。そうでないと、僕が僕でなくなってしまう。
もっと強くならないと。誰にも頼らず、もっと、もっと。
今はそれが、唯一の答えだから。
そう思い、心を整えようとした時、隣に立つ音が聞こえそちらを見る。そこには、
「えっ、ハル、なんで」
遙「こうしなければお前と泳げなかったからだ。一人で全部できるなんて言うな。お前はひとりじゃない。」
なんでここに、どういう意味、色んな疑問が出てくる。
締まらない心の状態で、スタートの合図が鳴ろうとしていた。
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さく(プロフ) - はるかぜ。さん» ありがとうございます！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 3f7d8ab273 (このIDを非表示/違反報告)
はるかぜ。(プロフ) - 読みやすくて、どんどん読めました。更新されていて嬉しいです！続きも楽しみにしてます！ (2022年1月27日 21時) (レス) @page10 id: 164040e2af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さく | 作成日時：2022年1月26日 22時
