Free.32 ページ35
日和 Side
『今日、ご飯行かない？練習メニューで相談もしたいし。』
郁弥の誘いを断ることはそうそうない。だけど理由が理由だ。どうしても外せない用事がある、と断りを入れた。
水着に着替えプールに向かう。
「早いね。」
遙「来ないかと思った。」
「僕は約束は守るよ。君と違ってね。それじゃあ始めようか、橘くん。」
ふふ、ちょっと反応した。煽りがいがある。
旭「Take your marks 」ﾋﾟｯ
真「はぁ、はぁ、」
「はぁはぁ」
(くそ、ターンに入って並ばれた。でも、負ける気は無い！)
「はぁはぁ、よし、」
「はぁ、なかなかやるね。」
真「はぁ、はぁ、」
「橘くん、ブランクあるのに僕といい勝負なんだから大したものだと思うよ。」
真「遠野くんこそ。すごくいい泳ぎでびっくりした。今日はありがとう！」
仲良くする気なんてないのに。彼はお人好しだな。
「でもやっぱり、郁弥と会う資格はないかな」
僕に勝ててないしね。嘘は言ってないさ。でも…
「でも、せっかく勝負してくれたんだから、君たちの知らない郁弥のこと教えてあげるよ。」
遙「知らないこと…？」
「郁弥、中学の時に酸欠で溺れたことがあったんだよね。実はその後、もう一度アメリカで酸欠事故を起こしたんだ。その時はちょっと重症でさ。暫く入院することになった。」
真「そんな…！」 旭「まじかよ」
「郁弥はデリケートなんだよ…まぁ、結果的には事故を乗り越えてそれまで以上に強くなったんだけどね。
…でもさ、七瀬くんのこと、色々聞いたり調べたりしたけど、君と泳ぐとみんな不幸になるよねぇ」
遙「…はっ！」
あの顔は、心当たりが幾つかあるようだ。これだけでも今は十分かな。帰ろう。
慰めあいでもなんでもしてればいい。結局、水の中ではひとりなんだから。
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さく(プロフ) - はるかぜ。さん» ありがとうございます！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 3f7d8ab273 (このIDを非表示/違反報告)
はるかぜ。(プロフ) - 読みやすくて、どんどん読めました。更新されていて嬉しいです！続きも楽しみにしてます！ (2022年1月27日 21時) (レス) @page10 id: 164040e2af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さく | 作成日時：2022年1月26日 22時
