58話（鬼殺隊時代） ページ10
※風邪
朝方、任務が終わり帰宅する。
義勇さんはもう帰っているようだ。
『ただいま帰りました。』
返事がない。まだ寝ているのだろうか。
もう起きててもいい時間だ。
義勇さんの部屋の戸を叩く。
『義勇さん？』
返事がない。
思い切って開けてみる。
そこには布団で、顔を赤くして苦しそうに息をする義勇さんがいた。
風邪か？どうしよう、熱？
とにかく苦しそうにしている。こういう時はどうすればいいんだ。
わたしの家族はみんな体強かったから、風邪をひくという経験がない。
困っていると、鎹鴉が教えてくれた。
冷やしたほうがいいとのこと。
急いで氷水で濡らした布を用意し、義勇さんのおでこにおく。
布団がぐちゃぐちゃになってしまっているので、かけ直す。
帰ってきてすぐ寝たのか、隊服を着たままだ。髪も下ろしていない。
とりあえず、寝にくそうなので髪を下ろす。
冷やしたことが功を奏したのか、少し呼吸が落ち着いた気がする。
わたしだけじゃ分からないことも多いので、鎹鴉に義勇さんの状態を書いた手紙を付け、胡蝶さんのところへ持っていってもらう。
これからどうしよう…。
そうだ。ご飯を作らないと。
風邪の時はお粥だと、義勇さんの鎹鴉が教えてくれた。
お粥は簡単に作れた。
義勇さんの部屋に戻ると、義勇さんが目を覚ましていた。
「A…。」
『大丈夫ですか？』
「水が欲しい。」
水か！急いで持っていく。
「ありがとう。」
まだ辛そうだ。
『着替え置いておきます。出来たらで良いので、着替えてください。』
「あぁ。」
『ご飯持ってきます。少しでも食べたほうがいいと思います。』
そう言ってわたしは先ほど作ったお粥を持っていった。
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作者名：咲 | 作成日時：2022年3月13日 15時
