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83話 ページ35

愈史郎side


杜若A、水柱と共に生活している鬼と人間の子供。

定期検診をしてやってるが、ここ最近来ていない。

約束をすっぽかすなんていい度胸だ。

その夜、水柱の家に行くことにした。



家の電気がついていない。もう寝ているのか?

戸を叩いても誰も何も反応しない。

仕方ないので勝手に入らせてもらう。

居間のようなところに行くと、2人分の食事が置いてあった。だいぶ前のものだ。虫が湧きそう。

「おい、誰かいないのか?」

居間の奥には縁側がある。そこにやっと1人の人影を見つけた。壁にもたれかかっている、水柱の羽織を羽織った1人の女に声をかける。鴉を撫でている手が動いているから、生きてはいるな。大体察しがついた。

「おい、お前。」

彼女の虚な目がこちらを捉える。
その瞬間、びっくりしたように目を見開いた。

『え、愈史郎くん、なんでここに?』

意外と元気そうだ。

「お前が来ないからこっちから来てやったんだ。感謝しろ。」

『あ、もうそんな経ったのか。』

「しっかりしてくれよ。大体は察しがつく、あの水柱は死んだのか。」

彼女が頷く。その表情は曇っている。

「気持ちはよくわかるさ。でも死んだらだめだ。」


「残念だが、お前の体の成長は止まっている。完全に不死というわけではないと思うがな。」

『そう、ですか。』

「お前は時間がある。きっと水柱の男が生まれ変わったときにもお前はまだ生きているだろう。俺も珠世様が生まれ変わるのを待っている。そして、お嫁さんになってもらうんだ!約束したからな〜。」

そう話す俺を見て、何故か彼女が笑う。

「何笑ってるんだ。」

『ごめんなさい。確かにこんなんじゃ、次会った時に義勇さんに心配かけちゃいますね。』

そう言って微笑む。
まぁ多少腑に落ちないが、元気が出たようで良かった。

『ありがとうございます。』

「別に俺は何もしてない。」

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作者名: | 作成日時:2022年3月13日 15時

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