79話（無惨討伐後） ページ31
「A、夏祭り行かないか？」
夏祭り…！行ってみたい
『行きたいです。』
「よし、そうだ、折角だし不死川も誘おう。」
『いいですね。』
楽しみだ。
「浴衣着ていきたいな…！」
『いいですね…！準備してきます。』
浴衣を用意する。
義勇さんの帯を結ぶ。1人じゃ難しいだろうから。
「ありがとう。」
嬉しそうに笑ってくれる。
「よォ。邪魔するぜェ。」
不死川さんだ。ちゃんと浴衣を着てきてくれた。
「おーお前らちゃんと着れたようで安心したぜ。」
わたしたちのことをなんだと思っているんだ。
「似合っているだろうか？」
「アー、似合ってる似合ってる。」
不死川さんはだいぶ適当に答えるが、義勇さんは嬉しそうだ。
「じゃあ、行くか…！」
夏祭りの会場へと行く。音楽がなっていて、人が沢山いる。賑やかで騒がしく、みんな楽しそうにしている。屋台が沢山出ていた。
「おぉ、なんだあれ？」
「おい、迷子になるぞ。」
そう言って不死川さんが義勇さんの浴衣を掴んで引っ張る。兄弟みたいだ。
『金魚が沢山います。』
「金魚か、胡蝶を思い出すな。」
胡蝶さんに金魚を見せてもらったことがある。今はカナヲちゃんが面倒を見ているらしい。
「やってみるかァ？」
「勝負しよう。」
『やりましょう。』
金魚すくい対決が始まった。
結果は一位が義勇さん、二位がわたしで、三位が不死川さんだった。
「水柱だったからな、当然だ。」
「ずりィぞ。テメェら！」
伍の型で極めた優しい手つきが、功を奏したようだ。義勇さんは得意げな顔をしている。
その時、隣から子供の泣き声が聞こえた。
その子たちは3人兄弟で、金魚が取れなくて泣いているようだ。
それを見たわたしたちはその子たちに近づいて話しかける。
「金魚が取れなかったのか？もしよかったら、これを貰ってくれ。」
義勇さんが金魚を渡す。
「俺たちじゃ世話しきれるかわかんねェからな、貰ってくれやァ。」
不死川さんも金魚を渡す。
『どうぞ。大切にしてあげてください。』
わたしも渡す。
子供たちは泣き止んでくれた。そして笑顔でお礼を言ってくれる。
「ありがとう！！大切にする！」
『うん。』
暖かい気持ちになる。
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作者名：咲 | 作成日時：2022年3月13日 15時
