73話(鬼殺隊時代) ページ25
「A、隊服が届いたぞ。」
隊服というのはいつも義勇さんが着ているものだろうか。
学生服と似ている気がする。下はスカートだ。
長いマントのようなものも渡された。
太陽を遮る為のものだろうか。
「着てみろ。」
言われた通り着てみる。動きやすく、丈夫そうだ。
洋服は初めて来たので少し心が躍る。
「もうそろそろ刀も届くはずだ。」
刀か。最近は扱いにも慣れてきた。
そのとき、玄関が開いた。
戸を叩きもせずになにも言わず入ってきた男に困惑する。ひょっとこのお面をつけており、頭には風鈴をたくさんつけた傘をかぶっている。
「来たようだ。」
勝手に入ってきたけど、良いのだろうか。義勇さんは顔色ひとつ変えない。
「日輪刀だ。俺が打った。」
わたしの前に来て、目も見ずに箱を開けていく。
「日輪刀は色変わりの刀とも言われる。持ち主によって色が変わるんだ。」
ひょっとこの人は淡々と説明をしていく。
色が変わるなんてすごいな。
「お前さんは珍しい見た目してんなぁ。どんな色に変わるか楽しみだな。」
急にワクワクした声色になった。
刀を差し出してくる。
わたしは刀を受け取る。
『…ありがとうございます。』
「抜いてみろよぉ。」
言われた通り刀を抜いてみる。
抜いた瞬間刀の刀身の色がじわじわ白くなっていった。真っ白な刀身は綺麗だった。
「おぉ!白か!」
刀身を見て満足したのか、ひょっとこの人は帰るようだ。
玄関で立ち止まり、
「刀を折ったら殺すからな。」
と急に声色を変えて言ってきた。
人間ってこんな変な人もいるんだな。
「殺されないように気をつけろよ。」
義勇さんがわたしの肩に手を置いて言ってきた。
え、刀を折ったら殺されることが常識なの?
『は、はい…。』
わたしはそう返事するしかなかった。
人間って物騒だな。
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作者名:咲 | 作成日時:2022年3月13日 15時