【鬼滅の刃】鬼と人間の子【冨岡義勇】番外編 (ページ11)

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59話（鬼殺隊時代）ページ11

※風邪続き

持っていく最中、鎹鴉が帰ってきた。

胡蝶さんからの手紙と薬がついている。
ありがたい。
今度お礼をしなくては。

『義勇さん、お粥です。それと薬です。胡蝶さんからいただきました。』

「ありがとう。」

義勇さんはお粥をゆっくり食べている。よかった、少しは食べれそうだ。

「もう食べれない。」

半分以上残してしまったけど、食べれただけましか。

義勇さんの口についたお米を拭う。

「すまない。」

申し訳なさそうな顔をしている。

『今はゆっくり寝ていてください。』

義勇さんの頭に手を置き、そう言った。

お粥を片付ける。義勇さんは薬を飲んで寝たようだ。

お皿を洗い終わる。

義勇さんの様子を見にいく。

うなされている。早く良くなって欲しい。

「姉、さん…さび、と…」

寝言を言っている。きっと大切な人なのだろう。

義勇さんの目から涙が溢れている。何かを掴もうと、手を宙へ伸ばしている。

鬼殺隊にいる以上、容易に想像できる。鬼に奪われた人たちだろう。

涙を拭って、手を握る。

『ごめんなさい。』

わたしにはこれしか出来ない。その穴を埋めることは、わたしには出来ないのだ。

泣いているところを初めてみた。

手を握ると、少し安心したようだ。

その日は一晩中そうしていた。

次の日、案外ケロッと義勇さんは治った。