4話 ページ5
「君が義勇の言っていた、鬼と人の子だね。」
今わたしはお館様と呼ばれる人と話している。義勇さんはどこかへ行ってしまった。
わたしはお館様の問いに頷いた。
「君のご両親は今はどうしているのかな?」
お館様がそう聞いてきた。優しい声だった。
『父は餓死しました。母は村の人に殺されました。』
「お父様は人を食べなかったということかな?」
『たぶん、食べていたと思います。でも、途中で耐えられなくなって、食べなくなって…。実際に人を食べていたところを見たわけではないので、わからないですが…。』
「そうか。」
お館様は少し何かを考えている。親が人間を食べていたから、やはりわたしを殺そうとしているのかな。村の人と同じ様に、連帯責任として。わたしが殺されて、父の罪が少しでも許されるのなら、それでもいいか…
「君は人を食べるのかな?」
お館様がそう聞いてきた。この状況でもやはり優しい声で話してくれる。
『わたしは人を食べません。』
「そうか。」
「鬼の力は使えるのかな?」
『少しなら。』
運動神経は良い。昔から怪我の治りも早かった。たぶん、鬼の子だからだろう。頑張れば血鬼術だって使える。
「鬼の力を使える君に普通の暮らしをさせるわけにいかない。ごめんね。」
わたしはここで殺されるのか。
「でも、人間の子だ。人も襲っていない。そんな君を鬼として殺すわけにもいかない。」
「だから、鬼殺隊に入ってくれないかな?」
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作者名:咲 | 作成日時:2022年3月6日 21時