28話 ページ29
善逸side
今日は任務で、山奥の村に来ている。
正直もう帰りたい。
木陰からずっと村の様子を見てたけど、なんか村の人まともな感じじゃない気がする。単なる直感だけど…。
もう夜だ。そろそろ鬼が出てくるかもしれない。
大丈夫、勝てる、はず…！
「きゃーー！！」
悲鳴だ！鬼が出たのか？
急いでその悲鳴の方へ走る。
向かうと、そこには女の人と、その人を襲おうとしている鬼がいた。
「おおおおおい！！」
怖い怖い怖い
「なんだ、お前？鬼狩りかぁ？」
「…邪魔だなぁ。」
速い！！
一瞬で距離を詰められる。
攻撃も重い、ぎりぎりで受け身を取る。
どうしようどうしようどうしよう。
「なんだお前、びびってんのか？鬼狩りのくせにぃ？」
「つまらない。終わりにするかぁ…！」
やばい攻撃がくる。
このままじゃ…！
その瞬間、俺の目の前には鬼の攻撃じゃなく、白い刀身が見えた。
『水の呼吸、伍の型 干天の慈雨』
Aちゃんだ！よかったぁ助けが来たあぁぁ…
なんかいつになく険しい顔をしてる気がする。
Aちゃんの攻撃は当たったが、首は切れなかった。
鬼が攻撃する。Aちゃんは避ける。Aちゃんが攻撃する。鬼が避ける。それを繰り返している。
「…はぁ。もう飽きたわ、お前ずっと同じ攻撃しかしねぇじゃん。もう終わりにしようかぁ？」
先ほどまでとは比べられないほどの重い攻撃、速さも速い。
この鬼、上弦ほどの強さはないが、下弦よりも強いかもしれない…！
Aちゃんが飛ばされる。鈍い音が聞こえる。
どうしよう。俺が何もしなかったから…！
「あーあ。ほんとに終わっちゃった。」
「ぁ、あぁ…」
「お仲間さん、生きてるかなぁ？結構な音してたけど、死んじまったんじゃないかなぁ！！」
「次はお前だ。仲良く天国でも地獄でも行ってこい。」
鬼がくる。やられる…。
『血鬼術・白詰草』
何が起きた。辺り一面が赤い花に包まれる。
「な、なんだぁ？なにが、誰が！」
鬼と俺が声の聞こえた方へ振り返る。
「え？」
Aちゃんが立っていた。なんであの怪我で動けるんだ。頭を完全にぶつけていたはずだ。腕もやられていたはず…。というか今血鬼術って。
「あぁ？」
「は…」
鬼の首が切れていた。
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作者名：咲 | 作成日時：2022年3月6日 21時
