25話 ページ26
その時、箱が動いて、小さな女の子が出てきた。
竹を咥え、桃色の着物を着ている。
この子が禰豆子さんか。
彼女は確かに鬼だ。
箱から出たら、少し大きくなった。
たぶん、わたしが義勇さんと出会った時と同じくらいの歳。
以前の自分と重ねてしまう。
悪いことをしていないのに、鬼だと言われ、怖がかれ、煙たがれ、勝手に襲われると思い込んで…。
わたしはあの村の人たちと同じ考え方をしてしまっていた。
なんていうことだ。自分に吐き気がする。
『ごめんなさい。浅はかな考えでした。禰豆子さんは何もしてないのに…。』
炭治郎さんは嬉しそうに笑った。
「いえ、大切な人を失うと思えば、きっと誰でも混乱します。わかってくれて、ありがとうございます。」
わたしは禰豆子さんと目を合わし、こう言った。
『わたしの父はずっと人間に戻りたがってました。父の後悔、父の未練…。もしあなたが人間に戻れたら、どこか救われる気がするんです。だから、絶対に人間に戻ってくださいね。』
禰豆子さんは笑った。任せてと言っているような気がしたのは、都合が良すぎるだろうか。
『炭治郎くん、禰豆子さん。ありがとうございました。何かわたしにできることがあったら、言ってくださいね。』
「はい!ありがとうございます!」
たぶん彼女は人を襲わない。そう思わせるなにかがあった。
もし襲おうとすることがあるなら、わたしがその前に殺そう。
それでいい。
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作者名:咲 | 作成日時:2022年3月6日 21時