24話 ページ25
「あ!Aさん!」
部屋に帰る途中に炭治郎くんにあった。
「もうすぐ退院らしいですね!おめでとうございます!俺はまだかかりそうです…」
表情がコロコロ変わる子だな。
『ありがとうございます。…あの妹さんって今会えますか?』
「禰豆子ですか?起きているかわかりませんが、会いに行ってみますか?」
わたしは首を縦に振る。
「禰豆子ー、入るぞー。」
炭治郎くんが戸を開ける。部屋は暗かった。
木でできた箱が置いてある。
炭治郎くんはその箱に向かって話しかけている。
「んー、出てきてくれませんね…。寝てるのかも。」
『そうですか…。』
「少しだけ、待ってみましょう。もしかしたら出てきてくれるかもしれません。」
『そうですね。』
少しの沈黙が流れた。
そうだ、一つ聞きたいことがあったのだ。
『あの、前に義勇さんにお世話になったとおっしゃってましたが、どんなことがあったのですか?』
「今俺がこうして鬼殺隊にいることは、冨岡さんのおかけです。」
そして、炭治郎くんが鬼殺隊に入る過程を話してくれた。
「冨岡さんには本当に感謝しています。禰豆子が人を襲ったら、腹を切るとまで言ってくれました。本当に本当に感謝しないです。」
義勇さんは優しいのだな。
え?腹を切る?
『え、腹を切るって…』
禰豆子さんが人を襲ったら、冨岡さんは自害しないといけないのか…?なんで…。
何かを察したのか、炭治郎くんがわたしをまっすぐみて言ってくる。
「禰豆子は!絶対に人を食べません!襲いません!」
鬼なのにか?食べないと死んでしまうのではないか?
いや、今生きているということは、食べなくても生きていけるのか?そんなことできるのか?
そんなこと…
「禰豆子は寝ることで体力を回復できます。人を食べなくても大丈夫なんです。禰豆子は人を守れる子です!」
「俺は、絶対に禰豆子を人間に戻すんです!」
炭治郎くんはわたしと箱の間に立って、そう言った。
人間に、戻す…。父はよく人間に戻りたいと言っていた。
『そんなこと、できるんですか?』
炭治郎くんは箱を庇うような格好をしている。そんなことをしなくても、別に襲ったりしない。
「…できます!今はまだ方法がわかっていないけど!絶対にしてみせます!!」
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲 | 作成日時:2022年3月6日 21時