12話 ページ13
「もしもーし、大丈夫ですか?」
その人はにこにことした笑顔でそう聞いてきた。
「そっちの子は結構毒がまわってますね。でも、私が来たのでもう大丈夫ですよ!」
明るい声色でそう言ってくる。助けが来たようでよかった。
「あら、あなた…。」
「冨岡さんのところの鬼の子ですよね?」
冨岡さんを知っているのか。いや、彼は柱だし知っている人も多いのだろう。
『そうです。』
「やはりそうですか。」
女の人はにこっと微笑んだ後、わたしに斬りかかってきた。
『え』
間一髪のところで攻撃を避ける。本当にギリギリだった。次も避けられるかどうか。
「あら?避けられるんですね!すごいです!」
なんで笑っているんだ?なんで斬りかかってくるんだ。
『なん、で?』
「なんで?不思議なことを聞きますね。わたしは鬼狩りですよ。」
『わたしは、鬼じゃ、』
鬼じゃない。いや違う。鬼だ。でも人間だ。
「鬼じゃないとでも言いたいんですか?確かに、あなたは鬼と人の子らしいですね。人間でもある。でも鬼でもあります。」
そう言ってわたしに覆い被さってくる。
「でも、わたしは鬼とも仲良くしたいのです。あなたが人を食べた分、拷問します。大丈夫ですよ。鬼なら後遺症も残りませんし!」
『わたしは一度も人を食べてない!』
「え、あらあら、そうだったのですか。ごめんなさい。勘違いしちゃいました。」
そう言って笑いかけてくる。でも、目は笑っていないように見えた。まだ完全には信用されてなさそうだな。
倒れているわたしに、女の人は手を差し出してくれる。
その手を掴もうとした時、わたしは意識を手放した。
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作者名:咲 | 作成日時:2022年3月6日 21時