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俺を遠ざける理由はちゃんと彼女の中にあって
『私、好きな人がいるの。…忘れられない人がいる』
こんなセリフは何度も何度も聞いた。
嫌になるくらい
『かっこいいのに。モテるでしょ？私じゃなくても…』
こんなんだって、何度も。
悔しかったしなんでわかんねんだって腹もたった。
でもそう思えば思うほど俺の中は彼女で溢れてて
嫌になって捨てたくても、強くなるだけで無駄な話だった。
癖なのか何なのか
彼女はいつも決まったように髪を耳に掛けながら困ったように眉を下げる。
でも、俺、これだけ頑張ってきてそんなんじゃ引き下がるわけもないから。
顕「本気で好き」
その手を掴んでそのまま強く握った日が俺が爆発した日。
顕「あかりさんじゃないと嫌、無理」
『……バカだね』
顕「バカだよ。馬鹿みたいに好きすぎて意味わかんねぇ」
爆発して出てきたのはいつもと変わらない子供みたいな言葉。
ただ、いつもより本気でちゃんと俺との先が見えるように。
どストレートに、ほんと馬鹿みたいに
顕「何不安がってんのか知んないけど、俺本気だから。バカな俺と付き合ってよ」
だってさ、彼女は一度だって言わなかったんだ。
お決まりな困り顔をしても
俺を自分から遠ざけようとしても。
好きとは言わないけど、嫌いだとも言わなかったんだ。
顕「あかりさんさ、もう俺の事好きでしょ。…違った？」
ウザったるいくらいしつこかった俺を
迷惑だって本気で拒否した事は無かったし
だったらむしろその困り顔は俺を期待させる材料でしかなかったから。
だから俺が諦め悪いのは、そんなあかりさんのせいでしょ。
いいからはやく観念すればいいのに…
素直になれよって強引に抱きしめれば、胸に感じる彼女は熱くて
『私さ、思ってるより大人じゃないよ』
顕「…知ってるし、そんなんいいよ。」
『顔整いすぎてムカつくし、直球すぎて多分耐えられないし、年上なのほんとはすっごい気にしてるし、図々しいけど嫉妬深いから多分ていうか絶対面倒臭いし、……っ』
顕「………」
直球なのはどっちだよ…っていろいろ突っ込みどころはありすぎだし
いや、もうこんなの何だよ愛しすぎだろ我慢出来るかよだし
はやく欲しくて遮るように塞いだ唇。
キッと俺を睨みながら噛み締める下唇を指でなぞれば、顔を赤くする彼女が死ぬほど可愛かった。
顕「ね、好きって言ってよ」
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作者名：さく。
| 作成日時：2017年7月19日 20時
