恥ずかしいぐらいに、僕は君に。sho.aran 4 (ページ5)

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『今日あかり休みですよ』

顕「………ぇ」

その日、店内を見渡しても彼女の姿は無く
大人しくレジに向かい久しぶりにメニューに目を落としてれば
前から聞こえてきた小さな声。

顔をあげれば、みんなが可愛いと騒いでいたあの店員さん。

『あかり目当てでしょ』

顕「あかり……」

『あの子の名前。いつも来てくれてるからサービスです。』

いつも彼女と仲良さそうにしてる店員さんに貰ったサービスは、
苗字だけが書かれたネームプレートでは知ることの出来ない
彼女の名前だった。

顕「バレバレなんすね、俺。」

『かっこいいし、店員の中ではちょっと有名なんですよ？
あの子にしか興味無さそうだけど。笑』

他のお客さんがレジにいないことをいいことに、
〝当たってたんだ〟なんて嬉しそうに
いたずらっ子のように笑いながらそう言う言葉を受けて

『ちなみにあかり、何も入れずに飲むのが好きですよ』

当たり前のように受け渡されたシンプルなコーヒー。

いつもシロップとミルクをひとつずつ入れる手を止めて、
ひと口飲んでみれば広がる苦さに彼女を感じて。

他人から見ればもうバレバレなんだって
思わず可笑しくなって零れた笑みに、
〝好き〟その二文字が初めて俺の中にストンと堕ちてきた。

気になる

会いたい

知りたい

残したい

…………好き。

顕「にっが………」

まだ子供な俺にはブラックはまだ大人で、
だけど背伸びしてはやく一緒になりたくて。

柔らかく色付けるミルクは卒業して
見た目は変わらないのに、
甘すぎるシロップの量を半分にしてみた。

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それからの俺は、もっとわかりやすい奴だったと思う。

〝好き〟そのあっさりと俺の心の中に堕ちてきたその思いは、
自覚するぶんどこか心地よくて

それは俺を、かなり積極的にさせたんだ。

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