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顕嵐 side
久しぶりに入ったこの場所。
迷うことなく選んだ席に座れば、
見慣れた通りの景色が目の前に広がって。
顕「…高3の頃、学校帰りに来たのが最初」
目の前に何故か泣きそうに座る幼馴染ちゃんに呟く
もうどこか懐かしい、甘くて苦い俺の話。
＿＿＿＿＿＿＿ .
きっかけは可愛い店員さんがいるってはしゃいでた
友達の言葉。
それに乗っかってきたのが始まりだった。
きっと大学生で、俺らよりいくつか年上。
みんな�爐笋辰戞△舛隋鴫聴Δき瓩箸�騒いでて、
確かに可愛い。
けど俺は、その奥にいるどっちかといえば綺麗に部類されるであろうその人に目を奪われてた。
真剣にコーヒーを作る姿、笑顔で注文をとる姿
ほかの店員さんと仲良さそうに目配せする姿
みんなが可愛い店員さんに恥ずかしげもなく釘付けなのを
いいことに、俺もその綺麗な店員さんに釘付けだった。
無意識に見続けた視線がバチッと合わさった時、
もう俺は、その人の何かに堕ちてたんだと思う。
ハマったら抜け出せないってやつ？まさか。
若かったなぁ。
部活もいいとこまで行ったけど呆気なく引退した俺は、
ゆったり流れるあの空間で受験勉強出来ることも理由に
暇があればそこに通った。
店の一番奥の隅の席。
窓の外を眺めるか、机に広げた教材にペンを走らせるか。
その合間に珈琲を飲みながら彼女の姿を盗み見る瞬間に、口に広がる苦さに君の甘さを含む。
そんな時間が、たまらなく好きで。
この時は、ただ気になるだけ。
年上のお姉さんにちょっと憧れてただけ、そう思ってたけど
今思えばまるでストーカーみたいだったのかもしれない。
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作者名：さく。
| 作成日時：2017年7月19日 20時
