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全てを冷静になって話してしまえば
自分はどれほど無謀で馬鹿な恋をしてきたんだろうって思う。
記憶に置き去りだった思考を戻して
目の前に焦点を合わせれば、
泣きそうに、っていうかもう泣きながら俺を見つめる幼馴染ちゃんが見えて
俺は自分で自分に笑った。
顕「…馬鹿だなぁって思うでしょ。自分でも思うよ」
嘘に綺麗も汚いもあるのだろうか。
どうせ結局嘘はどう転がっても嘘でしかないのに。
だから、
もっともらしい理由を付けてどう足掻いて見せても
俺が彼女を嫌いなんてのも、結局嘘でしかないんだ。
ただの弱い醜い意地と見栄。
気持ちの量はどこかすれ違っていたとしても、
俺が彼女を必要としてたように
彼女にとっても俺は必要な存在だった。
そう心に思うことで、
この関係に「終わり」はないとそう思ってた。
顕「でも、いつか俺のとこに来てくれるんじゃないのかってそんな事ばっか考えてた。……そんなはずないのもわかってんのに。」
彼女の寂しさを埋めれるのは、俺だけ。
彼女の孤独を抱けるのは、俺だけ。
利用でもなんでもいいから傍にいたかった。
俺が彼女の心を救える、その理由でいたかった。
失うことへの天秤を掛けたとき、
俺が選ばれるはずないことだってわかってんのに。
顕「でもさ、それぐらい、好きだったんだ。」
どれだけ憎くてもなんでも、どうせ最初から惚れた俺が負け。
彼女の事が本当に好きだった。
たったそれだけが何よりの全てだった。
本当にそれだけで、それでよかった。
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だから、君が怖かった。
顕「……なんで君が泣くの」
「……ふ、………っ、ぅ………」
俺も泣いてないのに。
そんな必要もないぐらい目の前でポロポロと涙を零す姿が、俺の胸を締め付けて
無意識に伸びかけた手を閉じて握り締めた。
顕「…………っ」
誰かの言動に一喜一憂して、
自分の感情を他人に支配されてって
そんなのはもう要らない
傷つく前に捨ててきたはずだった。
俺を振り回すのはあの人だけで十分だったから。
なのに、なんで映るんだろう。
顕「……ほんっと、………なんでかな」
Aちゃん
俺は君が怖いよ。
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作者名：さく。
| 作成日時：2017年7月19日 20時
