147. ページ2
.
顕「いいの選べた。ありがとね」
「…いえ、私は何も…」
顕「ね、お礼にもうちょっと付き合ってよ」
言われるがまま着いてきてたどりついた場所は
有名な某コーヒーのチェーン店で。
顕「何飲む？」
「…ぇ、っと。…同じので」
顕「苦いけどいいの？」
「…ぁ、じゃあ甘いの、で」
顕「ふふ、了解」
普通に聞けば、
甘い楽しいやりとりにも聞こえそうなこの会話だけど、
今の私はもう本当に頭が回らない。
そんな私を見て、何故か可笑しそうに鼻で笑った先輩に
また感情がこんがらがって…大変だ。
どこ座ろっかの相談も迷うこともなく進む先輩にただ続いて
座ったのは店内の一番奥の空いてる2人がけの席。
向かい合うように座れば、当たり前だけど先輩の顔が目の前にある。
……どうしよう。
彷徨う視線に彷徨う思考。
先輩はなんでこんなにも普通なのだろう。
さっき私が聞いた事は、全て幻聴だったのかとさえ思ってきた。
顕「…だからそんな顔しなくていいよって。」
「……へ」
顕「俺、叶わない恋してんだよ？嬉しくないの？」
「………っ」
だけど、そんな訳もなく
先輩の声が私の耳に届いては、その言葉にまた心が震えた。
……嬉しい？そう私が思うの？
反射的に首を左右に振る。
好きな人の好きな人が結婚する。
確かに普通ならラッキーだと思うのかもしれない。
だって、チャンスなんだから。
でも、そんな事思えなかったんだ。
先輩の横に今も見える紙袋から除く可愛い袋。
それが�爛廛譽璽鵐鉢瓩世箸錣�ったとき、
…私は何故か胸が苦しかったんだ。
.
顕「俺もね」
「…？」
.
なんで私たちは叶わない想いに恋をするのだろう。
.
顕「俺も多分、一目惚れだったんだ。」
それからぽつりぽつりと話しはじめた先輩の言葉を聞きながら
想いを受けとるたびに胸元のシャツをぎゅっと握って、
握るぶんだけまた、心が苦しくなった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さく。
| 作成日時：2017年7月19日 20時
