6 美味しい食べ物のために... ページ6
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫か？」
私たちは無事に家を出ることに成功し、ククルーマウンテンの麓にある街にいた。
私は仕事に行った何回かしか家の外に出たことがなかったから、当然この街のことは何も知らない。
街並みやすれ違う人々の表情をきょろきょろしながら見ていると、甘塩っぱくていい匂いが漂ってきた。気になって、匂いがする方へ一歩踏み出す。けれど、右手だけが後ろに残った。
『あっ...まだ手繋いだままだった。もう離しても大丈夫だよ。』
「ダメだ。お前、ぜってー迷子になるもん。てか今なりかけただろ。」
『う...ごめん。いい匂いがしたから、美味しそうな匂い。』
「あーあれか、オノブタの串焼き。食いてぇけど、あんま金持ってきてねーんだよな...」
うーん、と考え込むキルア。私もどうにか出来ないかと考えるが、勢いで出てきたから特に何も持っていない。
「しょーがない。諦めるか。」
そう言ってキルアが私の手を引いて歩き始めたとき、しゃら、と首もとで音がした。そうだ、これがあった。
『キルア！これ、好きにしていいよ。』
✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼
「まいどー！」
「さんきゅー。A、あっちで食べようぜ！」
『いただきます。...ん、美味しい...！！』
「うま〜！Aのおかげだな。ってか、本当に良かったのかよ、あれ売っちゃって。」
あれ、とは私が身に付けていたネックレスのことだ。売れば少しでもお金になるのでは、とキルアに渡したら、結構な額で売れた。まだ子供だから買い取り業者のおじさんに怪しまれたけど、キルアが上手く誤魔化してくれた。
『ん？...別に、美味しいものが食べられるんなら良いかなって。』
「あっそ...お前が良いなら良いけどさ。」
『あ、でもイルミ兄さんに怒られるかな...せっかくくれたのに...』
「はぁっ!?兄貴から貰ったのかよ！」
『うん。似合いそうだからってくれたんだけど、なんか不気味で...でも、結構高価なものだったんだね！』
「お前それアウトだろ...あーもう！オレは知らねーからな！！」
一瞬、「アホ」って目で見られたのは気のせいかな。
「ふーうまかった！A、オレこれからハンター試験受けに行くつもりだけど、お前も一緒に行くか？」
『...？うん。』
𝐍𝐞𝐱𝐭⚡
(↑やっとハンター試験が始まります...)
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作者名：桜ゆま | 作成日時：2023年8月1日 12時
