出来損ないの少女【H×H】 (ページ5)

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『ごめんキルア...私、自分のことばかり考えてた。キルアだって辛いって、少し考えれば分かったのに...』

「お前も、辛かったのか...？いつもあんなに笑って──いや...そっか、オレらはやっぱ双子だな。」

『え？やっぱりも何も、双子だよ...？』

「分かってるって。オレは不自由、お前は自由。正反対だと思ってたけど、家に縛られて辛いってのは同じなんだなーってこと。」

『私が...この家に縛られてる......』

「そ。だって、お前が辛いのは"暗殺者にならなきゃいけない"って思ってるからじゃねーの？」

『...！』

「オレはそうやって縛られるのが嫌だから、この家を出てくんだ。」

そう言うキルアの目は本気で、今までに見たことがないほどワクワクした顔をしていた。もう私にキルアを止めることなんて出来ない。

『そっか、......』

キルアはすごいな。こんなに大きな決断をして、行動をして。

私にも、そんな勇気があったら...

『...キルア、行ってらっしゃい！』

「ん。元気でな。」

尊敬と応援の気持ちを込めて、精一杯の笑顔で送り出す。

『(寂しくなるなぁ...)』

キルアの背中を見つめながらそう思っていると、キルアは数歩歩いたところでピタリと止まった。

「...やっぱり、Aも行かね？」

『へ？』

思いがけない言葉がとんできて、反射的にそう返す。

意味が分からず混乱している私に、キルアがため息をつきながら話してくれる。

「はぁ...そのまんまの意味だよ。お前だって辛いってわかったのに、オレ1人で出てくのもなぁーって思ったの。あと、お前のこと結構...嫌いじゃねーし...」

頬を少し赤くして小声で喋ったあと、「だぁーっ！」と頭を掻きながらこちらへ近づいてくる。

そして、真っ直ぐな目で私を見つめながら手を伸ばした。

「A、一緒にこの家から出よう。そんで、本当に自由になって自分のやりたいことをやる。どうだ？」

『私は...』

ずっと"暗殺者にならなきゃ"って思ってて、でもなりたくなくて...私は"出来損ない"だから、この家に居なくても誰も困らない。なんなら居ない方がいいのかもしれない。それなら...

『行く...キルアと一緒に行く！私も、自分のやりたいことをやりたい...！』

「...分かった。んじゃ、誰かが追っかけて来る前にいこーぜ！」

差し伸べられたキルアの手に自分の手を重ね、二人で駆け出した。

𝐍𝐞𝐱𝐭⚡