出来損ないの少女【H×H】 (ページ4)

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私とキルアが12歳になる年のある日。

いつも通り朝食を食べ、部屋に戻り窓の外をぼーっと眺めていた。

『(母様...今日は特にキルの話に熱が入ってたなぁ...キル、ものすごく嫌な顔してた...)』

なんて考えているうちにだんだん眠くなり、うとうとしていると

「あぁぁぁぁぁぁ！！！」

「ママっ！！...おいキル！お前......っぐっ！！」

「邪魔するな、ミルキ。オレはもう......」

「待てっ...キル！！！」

母様の叫び声。どう考えてもただ事じゃない。

完全に目が覚めた私は、部屋を飛び出して声が聞こえた方に向かって走った。

『母様っ...ミルキ兄さん！何があったの...！？血が...』

「あぁ...キル...キルっ...！」

母様とミルキ兄さんは血まみれだった。私を見つけたミルキ兄さんは脇腹を押さえながら、怒りに満ちた目で叫ぶ。

「キルだ！あいつに刺された...っA！キルアを連れ戻せ！」

『っ......！』

床に滴った血を目印にキルアを追いかける。血は玄関まで続き、そこで途切れた。近くにはタオルが投げ捨ててあった。

玄関のドアを開けて外に出ると、試しの門へと続く一本道の先にキルアの姿を見つけた。

『キルアっ......キルっ！！！』

「あれ、Aじゃん。オレのこと"キル"って呼ぶのめずらしーね。あとそんな焦ってんのも。」

数分前、自身の母と兄を刺したとは思えないほど明るい口調で話すキルアに戸惑う。

『そ、そんなことよりっ...どうして母様と兄さんを刺したの...？』

「オレの邪魔しようとするから。」

『...え？』

ミルキ兄さんはともかく、母様がキルアの邪魔をするなんて考えられない。...ただ、もしあるとすればそれは──

『キルア...どこに行く気？』

「...この家を出ていく。オレにだってやりたいことがある。...もう人殺しなんてうんざりだ。」

『！...っでも、キルアは──』

「期待されてるから何だよ。オレは絶対にこの家を継がなきゃならないのか？オレの気持ちは無視か？Aも...っあいつらと同じなのか...？」

『あ...』

キルアは期待されてるが故に自由を失った。家に、家族に縛られ続ける生活は、キルアにとっては辛いこと。

一番近くにいたはずなのに、なんで分からなかったんだろう。辛いのは私だけじゃない。結局私は自分のことしか考えてなかったんだ。

𝐍𝐞𝐱𝐭⚡