真夜中のシンデレラ

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足取りがいつもより重く感じた。

行かなきゃいいのに。

なんてさっきから頭の中で自分に言う。
だけど、亜嵐はきっといつもの場所で
私をまっているだろう。

案の定しゃがみこんで寒さに震える亜嵐がいた。

寒かっただろう、来なかったらどうしたんだろう。
いろんな考えが頭をよぎったが、
私に気づいて立ち上がり、手を振る姿を見たら
何も考えられなくなった。


亜「Aー。寒かったんだけど」

「勝手にまってたんでしょ」

亜「あっ、そういうこというか」

悪い子だーって言いながら私の頬を
両手で左右に引っ張る。
あっ、と何か思い出したのか、パッと手を離した。

亜「そーいやさ、サイン見にきた？今日」

「…いっ、たような行かなかったような」

亜「いってないでしょ…」

じーっと疑心の目で私を見る。
ごめんと謝る私になんで行かなかったんだよと
不満げに唇を尖らせていう亜嵐。ちょっとかわいい。

「亜嵐がいたから」

亜「え？」

「今日亜嵐が彼女といるの見てなんか萎えたから帰った」

と吐き捨てるようにいうと、
亜嵐が気まずそうにしたから、続けた。

「あんなかわいい彼女がいる人のサインをさー
独り身の私が見るのかーみたいな？なんかね、
虚しくなって帰っちゃいました」

冗談交じりにいうと苦笑しながら亜嵐が、
そんなこというなよーって私の頭を撫でた。

亜「よし、じゃあさ。見に行かなかった罰として」

え、なんかいやな予感がする。

亜「連絡先交換しよーよ」

「…ええ、でも連絡先とかいいの？彼女怒るよ？」

亜「友達だから大丈夫」

友達だから。この言葉が深く突き刺さってしまって
未だに立ち直れていない私がいる。

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