I'll kiss you

ずっーと ページ17

夏のある日。


私が貴くんに連れられてやってきたのは、海。


夏だとはいっても車から降りると、少し肌寒い。


「うわ〜、意外と寒いっ」


しっかり指を絡めて、砂浜まで歩く。


砂浜について柔らかい砂地に腰を下ろす。


目の前から聞こえるのは、波の音。


ふと目をやった貴くんの横顔が月明かりに照らされてすっごくキレイで思わず吸い込まれそう。


私の視線に気づいた貴くんが、私の方を向く。


私を見つめながら貴くんが優しく笑う。


あぁ、この時間が止まればいいのに。


そう、思っていると、後ろから大きな声が聞こえる。


「はーいラブラブはそこまで〜」


振り返ると、ニヤニヤしながら立っている手越くん達。


その言葉に恥ずかしくなって、パッと手を離して、立ち上がる。


そう、今日は、貴くんと2人だけじゃなくて、メンバーの皆も一緒。


ちょうど皆のお休みが被ってて、前から手越くんが行きたがってた海に行くことに。


夜だから、出来ることも限られるけど、やっぱり皆で来るのは、楽しい。


……………でも、今日は……。


…ううん。せっかく皆と来たんだから、楽しまなきゃ！！


隣の貴くんも、立ち上がる。


「ごめんね。今日、2人で出かけられなくて」


申し訳なさそうに貴くんは言う。


「ううん。皆と来るのも楽しいし。お出かけはまた今度でもできるしね」


できるだけ明るく返す。


ほんとは、ちょっと寂しかったかも…なんてやっぱり言えなかった。

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