132.血のハロウィン-�� ページ32
(え…っ、何方・・？)
頭に過るはその言葉。
三つ編みの青年は、もう一人、誰かを呼びまじまじとAの姿を窓越しに見ていた。
都合よく、窓は半分程開いており“助けて”と心の中で叫びその青年に瞳で訴えていた。
「兄ちゃん、何だよさっきから」
「ほら、竜胆。女の子。」
「は？こんなとこに女なんて・・・マジか。いや、っつーか、これ完全に人質じゃん。」
のほほんと話す二人。
“竜胆”と呼ばれたメガネをかけた青年は若干引き気味で此方をまじまじと見つめる。
「・・なぁ、助けたがいいかなー？」
三つ編みの青年の言葉にピクリと反応しAは力の限り身体を使い訴える。
その必死な表情に少し考えた後、勢いよく窓ガラスをたたき割った。
＊ ＊
「大丈夫ー？」
その後、車の鍵を開けAを引っ張り外へと出す。
ふらつく彼女を抱き留めると口の布を解いた。
「・・っ、あの・・何方か存じ上げませんが助かりました・・・」
「・・・まさかお前、タダで助けてもらえたなんて思ってんじゃねー？」
「えっ・・」
「俺らがんなことするわけねーじゃん♡なー竜胆。」
「・・・・・・・、」
ニヤリと笑う三つ編みの青年と無言で此方を見る竜胆。
「あの・・・、わ、わたし・・時間がありませんのっ。御礼は必ずしますからっ！！どうか、この縄を解いてはくれませんかっ」
「お前、まさかこの抗争に乱入しようとしてんの？」
「え・・・っ」
次に口を開いたのは、竜胆の方だった。
ムスッとした表情でチラリとAを見る。
その言葉に驚いたAは思わず振り向く。
「お前みたいなどんくせー奴が乱入したとこで邪魔なだけじゃん。」
「・・・け、けどっ！私は場地くんを助けたいんですっ」
「あ？知らねーよ。そもそも助ける前に助けられてんじゃん」
「・・・っ、それは・・・そうですけど・・・」
正論を言う竜胆に俯くA。
そんな彼女を見て何を思ったのか、その縄を解いたのは意外にも蘭だった。
ぽとり、と解かれたロープが地面へと落ちる。
「え・・・、」
「解いてやったぜ。ロープ。」
「どうして・・」
「んー。ただの気まぐれ。」
ほら、行きなよ。好きなところに。
そう言い、Aの背中をポンと押し出す。
驚き、二、三歩進めば歩けることを確認し後ろを振り向く。
不敵な笑みを浮かべ此方を見る者と、未だにムスッとして此方に目を向けないもの。
対照的な二人にAはペコリと頭を下げた。
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咲乃(プロフ) - ひー(比古)さん» ありがとうございます！続編は甘々頑張ろうと思ってます。どうぞ完結までお付き合いください…。 (2021年10月5日 22時) (
レス) id: 78de730839 (このIDを非表示/違反報告)
ひー(比古)(プロフ) - タカちゃんの意地悪なスイッチがぁぁぁ！！ニヤニヤ過ぎる (2021年10月5日 0時) (レス) @page49 id: f1c378431b (このIDを非表示/違反報告)
咲乃(プロフ) - 累さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2021年8月23日 0時) (レス) id: 78de730839 (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品一気に読ませて頂きました。設定も面白いですし、話の内容もシリアスから胸キュンまであってとても面白いです。頑張ってください。 (2021年8月22日 13時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
咲乃(プロフ) - 真菜瀬さん» ありがとうございます！更新頑張ります。 (2021年8月17日 19時) (レス) id: 78de730839 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲乃 | 作成日時：2021年8月17日 0時
