受付嬢の私とエリートの彼 (ページ46)

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『酔い覚めましたか〜？・・・違う...もう、さっきはびっくりしちゃいましたね〜！・・あーこれも違う...』

温泉で体を癒してから、私は脱衣所にある鏡に向かって、

部屋に戻ったら何を言おうかということを考えては練習を繰り返す

こんなの動揺してるのバレバレじゃん

あまり長くなりすぎてもと思って意を決して部屋へと戻った

ドアノブを握る手にじんわり汗が広がる

『よし...』

なるべく物音を立てないようにドアを開けると、

さっきまで横並びで敷いてあった布団が離されていて、佐久間さんは部屋の隅っこで布団を被って寝ていた

本当に眠っているのか、嘘寝なのかは分からないがどこか安心した自分がいる

朝起きたら、気まずさは消えているだろうか

そんな心配を胸に深い眠りへと落ちていく

翌朝目が覚めると佐久間さんの姿はなく、布団が綺麗に畳まれていた

テーブルの上に置いてあるメモには

”おはよう。

昨日はごめん。

準備が終わったら、9時にロビー集合。”

『ごめんって思うならキスなんかしないでよ....』

どうしても考えてしまう

もし、あの時電話が鳴っていなかったらどうなっていたのか

私たちは超えてはいけない境界線を超えていたのか

いや、すでにもう超えてしまっているのかもしれない。