第33話 傷だらけの腕 ページ35
「･･･はい、おしまい。」
「ありがとうございます。」
採血が終わり、Aは神さまにお礼を言って、針を刺した箇所をガーゼで押さえる。
「血が止まるまでは押さえててね。
採血したばかりだし、まだ座ってようか。」
「はい。」
神さまに言われた通り、Aは大人しく座っている事にした。
「･･･さっきはエミさんとロボロに見えない様にしてたけど･･･。
どうしたの？この傷。 」
神さまの目に映っているのは、捲られた事で見えたAの腕。
元々肌の白いAの腕には、塞がってはいるが切り傷があったり、青い打撲の痕がある。
右手首には、少し古びた包帯が巻かれていた。
Aのこの傷だらけの腕と包帯に誰も気づかなかったのは、Aが手が隠れる程長い袖の旅人用のコートを着ているからであった。
「･･･。」
「見た所、最近出来た傷は数える程だけど･･･。
古い傷とか痣とかが多いよね？
手首のこの包帯は？どんな状態かは知らないけど、この下は･･･」
「っ！！」
パシンッ
Aの包帯に手を伸ばした神さまの手を、Aが急に引っ込めた時に当たり、乾いた音が鳴った。
神さまはポカンとし、Aは悲しそうな顔をして右手首を左手で掴んでいる。
「･･･Aちゃん･･･。」
「･･･ごめん、なさい･･･包帯は･･･。」
Aは右手首を掴んだまま、俯いてしまう。
「･･･Aちゃん･･･この傷は･･･？」
「･･･逃げてる間に出来たモノのと･･･後は･･･。」
「･･･手当ては？」
「･･･薬草を調べて、それを塗ったりして･･･必要な時には、包帯を買って･･･。」
「医者には診せてないの？」
「･･･お金がないので･･･必要な分だけ稼いで、渡航費などに回して、手当てはあまり･･･。」
神さまの問いに、Aは俯いたまま答える。
「･･･Aちゃん。誰にも言わないから、手当てはさせて。
俺も医者だからさ、怪我を手当てしないままにはしたくない。
ちゃんとした薬を塗って治そう？女の子に傷を残したくないな。」
神さまは両手でそっと、Aの右手を包み込む様に優しく握る。
「･･･。」
「約束する。Aちゃんが許可するまで絶対に他言しない。
こう見えて口は堅いんだよ？グルッペンにだって言わない。
もし俺が誰かに言ったら、俺の事刺してもいいよ。」
「え･･･。」
Aは神さまの言葉に驚き、顔を上げる。
神さまは布の下で、微笑んでいる。
「駄目かな？Aちゃん。」
「･･･お願い、します。」
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眼目夢子(プロフ) - あんですよ〜さん» ありがとうございます・・・！これから注意しながら更新していきます！！ (2021年9月9日 20時) (
レス) id: adc36b28e6 (このIDを非表示/違反報告)
あんですよ〜 - 気にせず明るくいきましょ!!ついでに☆押しときます! (2021年9月9日 20時) (レス) id: 7e1bdb3c05 (このIDを非表示/違反報告)
眼目夢子(プロフ) - ぽんさん» 申し訳ありません、確認不足でした。急いで訂正致しました。ご報告ありがとうございます。 (2021年9月9日 18時) (レス) id: adc36b28e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2021年9月9日 17時
